スーパーで見かけたおばあちゃん
スーパーマーケットでうろうろしていたら、買い物を終えようとレジに並んでいる魚ばあちゃんを見かけた。(容姿が魚っぽいおばあちゃんだった)
魚ばあちゃんはびっくりするくらい腰がくの字に曲がっていて、財布の中のお金を必死に取り出そうとしていた。
それからたっぷり1分ほどかかってお金を取り出し、ようやっと頭を上げた魚ばあちゃんの腰が、変わらず90度に曲がったままの姿勢だったのがなんとなく印象的だった。
一生懸命お金を取り出す魚ばあちゃんの姿を見て、介護実務者研修でやった『空気の入った特殊な手袋をはめて、財布の中の小銭を取りだす』という高齢者体験を思い出した。
ゴワゴワとした皮膚、太く滑りにくい指、曲がりにくい関節は、財布の中の小銭を出すのにかなり手間取った。
その体験はレジの台の上に小銭を全部出して数えながらレジ係の人にお金を渡している高齢者の苦労を身をもって教えてくれ、金輪際高齢者の方がレジでどんなに時間がかかろうとイライラしないぞと心に誓ったのだった。
会計を終えた魚ばあちゃんは、つんのめりそうなくらい前のめりに歩きながらも、杖なしで絶妙なバランスで上手に歩いて立ち去った。
自分の身体が急にあれだけ曲がったらきっとコケる。
人間の身体能力や順応力とは不思議だなぁ神秘だなぁと、スーパースペシャル高齢者に出会うたびにハッとする。